私が、建築家をやめた理由 ふらっと建築雑談
みなさんこんにちは!
ふらっとです!
今回は、以前私が建築家になった理由というのをシェアしましたが、今度は逆に私が建築家を辞めた理由をシェアします。
夢を語っておきながらなんで辞めてるんだよと思われるのかもしれませんが、夢は変わっていません。
建築家として私の夢を叶えるのは難しいということを感じたり、AI時代の設計事務所のあり方に疑問を持ったりして、別の道を模索するということで辞めたのです。
どういうところが難しいのか、AI時代に入った地方設計事務所のあり方とはなどを中心にお話していきます。
働いてみて分かった建築の世界
建築家として街を変えていくぞ!と意気込んで設計事務所で働いてみたものの、想像とは違う世界でした。
地方において、そこまでモチベーションの高い建築家が少ないのです。
同じ事務所内ではみんなモチベーションが高いのですが、他の事務所には少ないと思います。
そもそも、街をデザイン的に変えていこうと考える施主も少ないというのもありますが、役所仕事を主としている事務所が多いのも起因しているように感じました。
役所仕事というのは、公団や公共施設の外壁調査や修繕工事の設計、または解体工事の設計や公園遊具の安全調査などです。
これらは一級建築士の資格が必要な仕事なので、設計事務所に役所が公募で出します。
これらの仕事は、クリエイティブな仕事ではなく、コスト・効率重視でありテンプレート仕事なのです。
そういう仕事を主としている設計事務所が殆どなので、あまり建築に対するモチベーションが高くないのかなと思います。
設計の世界に入って感じたのは、思ったより建築に対するモチベーションが高くないことでした。
設計事務所で街を変えることの難しさ
一つの設計事務所がどれだけ良い設計をしても、年に数棟しか設計出来ないので街を変えるのは割と無理ゲーだと感じました。
街を変えるほどのデザインをして行くには、やはりそれぞれの建物の設計者と施主が建築に対してモチベーションが高くないと厳しいです。
ヨーロッパでは、景観を守りつつ隣の建築のデザインに負けないように設計するというほどモチベーションが高いので、あのような街になっているのだと思います。
街を変えるには個としてのデザインよりも、群としてのデザインの中で個のカラーを出していくことが必要だと思います。
景観条例などで、色やデザインを制限されるのではなく、建築家同士がその街らしさを表現するデザインソースを共有し、施主と作り上げていくことが大切なのかなと思っています。
設計事務所のITリテラシーの低さ
地方設計事務所では、殆どがJWWというCADを使っています。
JWWとは、PCで一本一本線を描いていく図面作成ソフトです。
手描き時代からすると画期的なソフトだと思うのですが、IT世代からすると手描きをPC上で行っているのと何ら変わりません。
JWWはフリーソフトなので、多くの人に使われているのだと思いますが、BIMの時代にまだJWWを使うのはちょっと時代についていけてない感が否めません。
そして、BIMの導入はまだ早いと言うのです。
その背景には、手描き図面という存在がある気がします。
一本一本の線に思いを込めながら引いていた時代からすると、BIMの容易さが心のこもっていない図面になっている気がするのだと思います。
しかし、これは最近バズっていた、子供のお弁当に冷凍食品は愛情がこもっていない論と同じだと思います。
冷凍食品でも毎日作るだとか、彩りをちゃんと考えるだとか、お弁当以外のことで愛情を伝えるだとかすればいいと思います。
図面でも、BIMならではの様々なシミュレーションだったり、プレゼンテーションの幅だったり、設計スピードだったりでいくらでも思いを込めることができると思います。
楽をするということは、他にいろんなことが出来るということだと私は思います。
苦労=努力、愛情という方程式は間違っています。
楽をして、無駄を省き、やるべきことにフォーカスして努力や愛情を注ぐことがこれからの時代なのだと私は思います。
AI時代の設計とは
これは私の勝手な妄想です。
私が思い描く、AI時代の設計というのは施主自ら設計する様になると思います。
実際に今海外では、諸条件を入力すれば自動で最適な空間構成をしてくれて、デザインもパターンで当てはめていくようなシステムが開発されています。
このシステムに建築基準法や消防法などの条件を組み込めば、施主が望む条件を入力するだけで、思い描く設計が完了するのです。
そのうち施主がタブレットでちゃちゃっと設計して、積算までしてくれて、そのデータを施工業者に渡し、巨大3Dプリンターで施工していく時代がくると思います。
ここまでのシステムが完成するのは、法整備などを含めて10年以上かかるのかもしれませんが、20代の我々が働き盛りの間には絶対に来る時代だと思います。
つまり、設計というのがコモディティ化して建築家の価値が希薄化してしまう恐れがあるのです。
そうした中で、施主の中にはコモディティ化するとオリジナリティを出したくなる人もいると思います。
ファッションもそうだと思います。
ファストファッションがコモディティ化してみんなが似たような服を着ている中で、高級ブランドやオーダーメイド品でオリジナリティを出す人がいます。
そこが、建築家の生き残る道なのかなと私は思います。
その生き残る道は大きく3つあると考えています。
1つ目は、建築家のブランド化。
個性豊かで、差別化を図っている設計をする建築家です。
雑誌に載るような建築家は生き残るでしょう。
2つ目は、AI設計ソフトのテンプレートデザインを考える建築家です。
テンプレートと言っても、それは人がデザインしなくてはいけないので、そのデザイナーになることです。
正直ここは、建築家ではなくても様々なデザイナーが参入出来るので、厳しいポジションだと思います。
3つ目は、オリジナリティを出そうとしている人が、建築ってどういうものがあるのだろうと調べる媒体を作る側です。
私はここを目指しています。
3つ目に関しては、建築家では無いのですが、ここのポジションであれば、街を間接的にデザインする側になれるのではと思いました。
一般の方が建築に対して考える機会を与えることで、ダサい洋服は着たくないというようにダサい建築じゃなくてカッコいい建築を造りたいという気持ちを持ってもらえば、街は変わっていくんじゃないかなと思います。
まとめ
建築家として、街を変えていくと意気込んでいましたが、建築の世界を見て方向転換した理由を簡単に話してみました。
まだまだ、方向転換したばかりでこの先どうなるのかとか、時代がどう転ぶのかは分かりませんが、ある程度未来を見据えて行動していければいいなと思っています。
まだ導入は早いという考えは新時代を生きていく上ではタブーだと思います。
新時代を生きていくならば常に新しいものに触れて、新しい価値観を受け入れなければ、時代に取り残されていくことでしょう。
お知らせ
最近InstagramやYouTubeを本格的に初めたので、ぜひ見ていただけると私のモチベーションに繋がりますので、宜しくおねがいします!
最後までご覧いただきありがとうございました。